仕事と両立OK!あなたに合った歯科衛生士学校の選び方を専門家がアドバイス
働きながら歯科衛生士の資格取得を目指せる学校には、どのような種類があるのでしょうか。この記事では、夜間部や専門実践教育訓練給付制度の対象となる学校など、社会人が学びやすい歯科衛生士養成校の種類と、自分に合った学校を選ぶためのポイントを解説します。
働きながら通える歯科衛生士学校の種類
歯科衛生士になるためには、文部科学大臣指定の歯科衛生士学校(専門学校、短期大学、大学)または都道府県知事指定の歯科衛生士養成所を卒業し、国家試験に合格する必要があります。修業年限は、いずれの養成施設においても3年以上と定められています。
社会人の方が働きながら歯科衛生士を目指す場合、最も現実的な選択肢となるのが**「夜間部(第二部)」を設置している専門学校や短期大学**です。夜間部は、主に夕方から夜にかけて授業が行われるため、日中の仕事を続けながら通学することが可能です。全国的に見ると、夜間部を持つ歯科衛生士養成校は昼間部のみの学校に比べて数は少ないものの、都市部を中心に存在しています。
昼間部(第一部)の学校でも、本人の努力と職場の理解があれば、アルバイトやパートタイムの仕事と両立しながら通学できる可能性はあります。しかし、授業や実習は日中に行われるため、フルタイムで働きながら通うのは非常に困難です。そのため、本記事では主に夜間部を中心に、社会人が学びやすい学校選びのポイントを解説していきます。
歯科衛生士養成校の多くは私立の専門学校ですが、公立の学校や短期大学、大学にも設置されている場合があります。それぞれの学校によって特色や学費、カリキュラムが異なるため、自分の状況や目標に合った学校を選ぶことが重要です。
夜間部のメリットと学習スタイル
夜間部で学ぶことには、働きながら資格取得を目指す社会人にとって多くのメリットがあります。
夜間部のメリット
日中の仕事を継続しやすい: これが最大のメリットです。現在の収入を維持しながら学べるため、経済的な負担を軽減できます。
社会人学生が多く、仲間意識が芽生えやすい: 同じように仕事と学業の両立を目指す仲間が多く在籍している傾向があり、互いに励まし合い、情報を共有しながら学習を進められます。年齢や職歴も多様なため、様々な価値観に触れることができます。
学費が昼間部より若干安い場合がある: 学校によっては、夜間部の学費が昼間部よりも低く設定されていることがあります。ただし、これは一概には言えないため、各学校の募集要項で確認が必要です。
生活リズムの変化を抑えやすい: 日中に活動の軸があるため、学業のみに専念する場合と比較して、生活リズムを大きく変えずに済むことがあります。
夜間部の学習スタイル
夜間部の学習スタイルは、昼間部とは異なる特徴があります。
授業時間帯: 通常、平日の夕方18時頃から21時過ぎ頃まで授業が行われます。学校によっては、土曜日に授業や実習が組まれていることもあります。
授業日数: 週に5日(月~金)授業がある学校が多いですが、学校のカリキュラムによって異なります。
臨床実習: 歯科衛生士養成課程では、歯科医院や病院での臨床実習が必須です。この実習は、多くの場合、平日の日中に行われます。そのため、夜間部の学生も実習期間中は仕事を休むか、大幅に調整する必要が出てきます。この期間の仕事の調整が、働きながら学ぶ上での大きな課題の一つです。学校によっては、実習期間のサポート体制を整えている場合もあります。
カリキュラムの密度: 限られた時間の中で必要な知識・技術を習得するため、カリキュラムは効率的に組まれています。集中力と計画的な学習が求められます。
オンライン学習の活用: 近年では、一部の講義をオンデマンド形式のオンライン授業で補うなど、学習の柔軟性を高めている学校もあります。
夜間部の生活は、仕事と学業の両立で体力的に厳しい面もありますが、明確な目標と強い意志があれば乗り越えられます。
専門実践教育訓練給付制度とは?対象校の探し方
社会人が専門的な知識や技術を習得し、キャリアアップを目指す際に活用できる国の支援制度として**「専門実践教育訓練給付制度」**があります。これは、一定の条件を満たす方が厚生労働大臣の指定を受けた専門実践教育訓練を受講し修了した場合、本人が支払った教育訓練経費の一部がハローワークから支給される制度です。
制度の概要
支給対象者: 雇用保険の被保険者期間が一定期間以上ある方(初めて利用する場合は2年以上、2回目以降は原則として前回の受給から3年以上など、条件があります)。
給付額: 受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練期間中に支給され、さらに資格取得などをし、修了後1年以内に雇用された場合には、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。つまり、**最大で教育訓練経費の70%(年間上限56万円)**の給付を受けることが可能です。
申請手続き: 受講開始日の1ヶ月前までに、ハローワークで支給申請手続きを行う必要があります。事前にキャリアコンサルティングを受けることも求められます。
対象校の探し方
歯科衛生士養成課程も、この専門実践教育訓練給付制度の対象講座として指定されている場合があります。対象校を探す方法は以下の通りです。
厚生労働省の「教育訓練給付制度 講座検索システム」を利用する: 厚生労働省のウェブサイトで、希望する地域や分野(「医療・福祉」など)を選択し、「歯科衛生士」とキーワード入力することで、対象となる講座や学校を検索できます。
各学校のウェブサイトや募集要項で確認する: 入学を検討している学校の公式ウェブサイトやパンフレット、募集要項などに、専門実践教育訓練給付制度の対象講座であるかどうかが記載されている場合があります。
オープンキャンパスや学校説明会で直接質問する: 学校の担当者に直接確認するのが最も確実です。制度の利用条件や手続きについてもアドバイスをもらえることがあります。
この制度を活用することで、学費の負担を大幅に軽減できる可能性があります。自分が対象となるか、希望する学校が対象講座を開設しているか、ぜひ積極的に調べてみましょう。
学校選びで重視すべきカリキュラムとサポート体制
働きながら限られた時間で効率的に学び、国家試験合格、そしてその先のキャリアへとつなげるためには、学校のカリキュラム内容と社会人学生へのサポート体制が非常に重要です。
カリキュラムで重視すべき点
国家試験対策の充実度: 国家試験合格率の高さはもちろん重要ですが、具体的な対策内容(模擬試験の頻度、個別指導の有無、苦手分野の克服サポートなど)を確認しましょう。
質の高い臨床実習: 実習先の種類(一般歯科、病院歯科、高齢者施設など)や数、実習内容が充実しているかを確認します。多様な症例を経験できる環境は、実践力を養う上で不可欠です。
現代のニーズに対応した科目: 高齢者歯科、訪問歯科、口腔機能管理、審美歯科、インプラントなど、社会のニーズが高まっている分野に関する科目がカリキュラムに組み込まれているかどうかもチェックポイントです。
チーム医療を学ぶ機会: 歯科医師や他の医療スタッフと連携して治療を進める「チーム医療」の重要性が増しています。他職種連携教育(IPE)を取り入れている学校もあります。
サポート体制で重視すべき点
社会人学生への配慮: 仕事との両立で困難を抱えやすい社会人学生に対し、相談しやすい窓口があるか、個別の学習相談や補講などのサポートがあるかは重要です。クラス担任制やチューター制度の有無も確認しましょう。
就職支援の充実度: 卒業後の就職サポートが手厚いかも確認が必要です。キャリアカウンセリング、求人情報の提供、面接指導など、具体的な支援内容を調べましょう。特に社会人の場合、これまでのキャリアも踏まえた上で相談に乗ってくれる体制があると心強いです。
学習環境の整備: 図書館の蔵書や利用時間、自習室の有無や利用しやすさ、実習設備の充実度など、学習に集中できる環境が整っているかを確認しましょう。
経済的サポート: 奨学金制度(学校独自の奨学金、日本学生支援機構の奨学金など)や学費の分納制度、提携教育ローンの案内など、経済的な負担を軽減するためのサポートがあるかどうかも重要です。
再就職・キャリアアップ支援: 既に歯科業界での経験がある方や、ブランクを経て再就職を目指す社会人に対して、キャリアアップ支援や復職支援を行っている学校もあります。
これらの点は、学校のパンフレットやウェブサイトだけでは分からない部分も多いため、次の項目で述べるオープンキャンパスなどを活用して情報を集めることが大切です。
オープンキャンパスや説明会参加のすすめ
自分に合った歯科衛生士学校を選ぶためには、情報収集と比較検討が欠かせません。その最も有効な手段の一つが、各学校が開催するオープンキャンパスや学校説明会への参加です。
なぜ参加すべきか?
学校の雰囲気や施設を肌で感じる: パンフレットやウェブサイトだけでは伝わらない、学校の実際の雰囲気、校舎の清潔さ、設備の充実度などを自分の目で確かめることができます。
教員や在校生から直接話を聞ける: 教員の人柄や教育方針に触れたり、在校生(特に社会人経験のある学生)からリアルな学校生活や学習の様子、仕事との両立の工夫などを聞いたりする貴重な機会です。
個別相談で疑問や不安を解消できる: カリキュラム、学費、入試、学生生活、就職支援などについて、個人的な疑問や不安を直接相談し、解消することができます。
複数の学校を比較検討する材料になる: 複数の学校のオープンキャンパスに参加することで、それぞれの学校の特色や強みを比較し、自分にとって最適な学校を見極めることができます。
オープンキャンパス・説明会でのチェックポイント
交通アクセスと通学の現実性: 実際に学校まで足を運び、自宅や職場からの所要時間、乗り換えの利便性などを確認します。働きながら無理なく通い続けられるかは重要なポイントです。
授業見学や体験実習の有無: 実際の授業の様子を見学したり、歯科衛生士の業務の一部を体験したりできるプログラムがあれば、入学後のイメージがより具体的になります。
カリキュラムの詳細と国家試験対策: カリキュラムの特徴、実習内容、国家試験の合格率だけでなく、具体的な対策やサポート体制について詳しく質問しましょう。
学費、奨学金、専門実践教育訓練給付制度について: 学費総額、納入方法、利用できる奨学金制度、そして専門実践教育訓練給付制度の対象校であるか、その手続きについてなど、経済面についてもしっかり確認します。
社会人学生の状況: 社会人学生の割合や年齢層、男女比、仕事との両立状況など、自分と近い境遇の学生がどのように学んでいるかを聞いてみましょう。
就職実績とサポート体制: 卒業生の主な就職先や求人状況、就職支援の具体的な内容を確認します。
最近では、オンラインでの学校説明会や個別相談会を実施している学校も増えています。遠方に住んでいる方や、忙しくてなかなか時間が取れない方でも参加しやすいので、積極的に活用しましょう。
まとめ
働きながら歯科衛生士の資格取得を目指すことは、強い意志と計画性、そして何よりも自分に合った学校選びが成功の鍵となります。夜間部の有無、専門実践教育訓練給付制度の対象であるか、そして充実したカリキュラムと手厚いサポート体制が整っているかなど、多角的な視点から学校を比較検討することが大切です。
オープンキャンパスや説明会に積極的に足を運び、自分の目で見て、話を聞き、納得のいく学校を選びましょう。情報収集を怠らず、慎重に学校を選ぶことが、後悔のないキャリアチェンジへの第一歩となります。あなたの歯科衛生士への夢が実現することを心から応援しています。